飛田哲也の雀キチ時事放談 カリスマ(?)コラムニスト飛田哲也が、古今東西、麻雀と関わりのない時事ネタを無理やりこじつけてコラムにしてみました!
稲作、紙、飛行機などと並び、世界史的発明といわれる「全自動麻雀卓」、略して「全自動卓」。
近年は、配牌やドラ表示まで自動的に行う機種も登場。親の第一ツモからスタートするという常識を覆すシステムのため、年季の入った雀ゴロオヤ ジたちを日夜混乱させている。「あ、ゴメン。またやっちゃったなぁ」と、親に先んじてツモってしまい、苦笑いして牌を置きなおす南家のオヤジ という光景が、ここ最近、雀荘での見慣れた風景だ。ちなみに、「そういうオヤジに限ってドラ爆、連荘の猛爆を起す」というマーフィーの法則が 追加されたとか、されないとか。
しかし、「雀卓革命」の、出口が見えないイノベーションはとまらない。最新作というのが「ジャン ナビ」(株式会社ナビ発売)だ。2004年に発 売された同商品の特徴は、「点数の自動計算」である。キャッチコピーは、強気に「次世代麻雀卓」。「初心者のほとんどが符計算などの細かい点 数計算が出来ない」(同社HPより)というわけで、上がり役と符を入力するだけで点数が一発表示するという、いわゆるスグレものだ。
だが、こんな便利な機械が登場したおかげで、雀荘でしか打たないような初心者は、点数計算なんて面倒なことを覚えようとしないだろう。そもそ も麻雀は、ゴルフに似て、スコアを自分で計算し申告するというのが、暗黙のルールとなっている。点数を自分で申告できるようにならなければ、 麻雀という遊びが出来ても、ゲームをしていることにはならない。
また、点数を過少申告した和了者に急いで点棒を渡し、自動卓のボタンを押し、 「ハイ、今のは倍マンでした〜」と心理的ダメージを与えるというのも、麻雀というゲームの醍醐味なのだ(間違えた奴が悪いとはいえ、こんな意 地の悪いことをする人間が後を絶たないから、ゴルフのように「紳士のゲーム」といわれないのだろう)。
また、それ以前にオーラス時の緊迫した場面において、出来上がった手で逆転可能かがわからなければ、そもそも勝負に出られない。まさか裏ドラ 期待リーチなんて暴挙に出て、裏ドラ無しとなった日には「マジでね〜よ」と、場がドン引きすること必至だ。
点数計算、申告という、いささか波乱の含んだイベントが麻雀の舞台から今後消え行くとしたら、本当に憂うべき事態である。
さて、前置きが長くなってしまったが、ここ数年、教育の価格破壊ならぬ内容破壊と言われている(とオレが言っている)「ゆとり教育」を、点数 自動計算機能付き全自動卓を見て思い出した。
「ゆとり教育」(2002年度から実施された「学習指導要領」のこと)では、算数の計算に電卓を 使っていいだとか、円周率が3になったりだとか、とにかく、米BSE以後の松屋の牛メシ並みのボリュームダウンが実施された。
おいおい、そりゃないだろう。電卓に慣れてしまったら、将来生活していくうえで困る場面が増えてくる。例えばお店で店員がつり銭を間違え場合 、「ハイ、今のは300円のお返しでした〜」と切返して、誤りを正すことができないのだ。まさに、無知は罪。そんな罪作りなガキを量産するのがゆ とり教育なのだ。
同じことが麻雀業界でもなされようとしている。たしかに、淡々と申告ミスという波乱もなく、クリーンに進行していくのも良いのかもしれない。
でも、それは違うだろう。ゲームなんだよ、麻雀は。ミスや波乱があるからこそ面白いのではないか。イノベーションの裏で進行する麻雀の醍醐味 破壊に、私はきっぱりと異議を唱えたい。何でも進化すりゃいいってもんじゃないんだよ!
同じことは、自動配牌、一発ドラ出し機種にもいえる。ハイ牌を1トンずつ取るという行為がいかに、厳粛で興奮に満ちた行為か。自動配牌卓で打 って、初めてわかったよ。たった、4回の行為の中に「うぉー、いきなりドラが2枚かよ」と思ったら「今度は、全部バラバラの字牌か…orz」という ように、ひとつの物語をなしているのである。
しかし、そのイノベーションに敢然と「No!」を唱える同士がいる……。
南家で、いきなりツモって顰蹙を買った、そこのオヤジ!オレは知ってるんだ、お前の連荘に込めた怒りを……(んなことないか)。



